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「営業所技術者」とは?【上級編】

お世話になります、行政書士の前田です。

前回は、現場に置く配置技術者(主任技術者・監理技術者)が、特定の要件(特例1号など)を満たせば最大2現場まで兼務できるルールを解説しました。


今回は、その知識を土台として、「営業所にいる技術者を、何とか現場にも出せないか?」という多くの経営者の切実な疑問にお答えします。

営業所技術者の職務を改めて確認し、現場の配置技術者との兼務が認められるための明確なルールを、最新の法令基準に基づいて正確に解説いたします。

【原則再確認】営業所技術者の「専任」はなぜ現場を兼務できないのか?


まず、大前提となるルールを再確認しましょう。

建設業法は、営業所技術者(特定建設業許可の場合は特定営業所技術者)に対して「営業所ごとに専任の者」であることを求めています(建設業法第7条、第15条)。

この「専任」が原則として現場との兼務を認めない理由は、その職務の性質にあります。

法令上の職務
「技術上の管理をつかさどる者」

営業所技術者(特定営業所技術者を含む)の法令上の役割は、「建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者」です。

つまり、その職務は主に以下の2つです。

対契約の職務
契約締結前に、技術的な観点から内容をチェックし、問題がないか管理する。

対社内の職務
営業所内で技術水準の維持・指導を行い、会社の技術的な基盤を支える。

これらの職務は、営業所に常駐していることで初めて十全に遂行できると法は考えているため、原則として現場に出て常駐する配置技術者との兼務は認められていないのです。

営業所技術者を現場に配置する際の「兼務の明確な要件」


営業所技術者(特定営業所技術者を含む)が、現場の主任技術者または監理技術者を兼務できるのは、あくまでも例外的なケースです。

したがって、ある一定の厳しい要件を満たし、営業所技術者が現場の職務を兼務する際、その技術者は建設業法第26条の5に基づき、特例的な措置を講じた者として扱われます。

≪専任を要しない工事(4,500万円未満等)を兼務する場合≫

請負金額が4,500万円未満(建築一式工事は9,000万円未満)で、配置技術者の専任が不要な工事を兼務する際の要件です。

この場合、営業所技術者は、その工事が営業所と近接しており、営業所での職務を適確に遂行しうる程度に常時連絡が取れる体制にある場合に兼務が認められます。

これは、営業所技術者の常勤性が損なわれず、現場と営業所どちらの職務も果たせることが条件です。

さらに、当該営業所で契約締結した建設工事であることも要件の一つとされています。

≪専任を要する工事(4,500万円以上等)を兼務する場合≫

請負金額が4,500万円以上(建築一式工事は9,000万円以上)で、配置技術者の専任が必要な工事を兼務する際の要件は、非常に厳格です。

この兼務は、情報通信技術(ICT)を活用する等の措置を講じることで、営業所技術者が現場の技術者の職務も果たせる場合に限り認められます。

具体的には、以下のすべてを満たさなければなりません。

・兼務できる工事現場は1つに限られます。

・営業所技術者が置かれている当該営業所で請負契約が締結された工事であること。

専任特例1号をすべて満たしていること(下記①~⑦)

①請負代金の額が1億円未満(建築一式工事は2億円未満)の工事
②営業所から現場までの距離を1日の勤務時間内に巡回可能、かつ営業所から現場の移動時間が概ね2時間以内
③下請次数が3を超えていないこと
④監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずる者を工事現場に置いていること
⑤工事現場の施工体制について、情報通信技術を利用する方法により確認する措置を講じている
⑥人員の配置計画書を作成し、工事現場毎に据え置く(作成等は電磁的方法によることも可能)
⑦工事現場の状況を確認するために必要な映像及び音声の送受信が可能な情報通信機が設置され、かつ通信を利用することが可能な環境が確保されていること

この制度の核心は、営業所技術者の職務が現場に移動したわけではなく、営業所からICTを用いて技術管理を行うことで、現場の技術者としての職務遂行を例外的に認めるという点にあります。

【実務上の警告】法令要件クリアだけでは終わらない高い壁


ここで最も重要であり、実務上の難易度が高いことを警告いたします。

上記で解説した専任を要する工事での営業所技術者の兼務は、法令上の要件を満たしたとしても、必ず配置できるわけではありません。

例えば、民間工事において、発注者側が契約書や特約で「現場に常駐できる技術者」を求めるなど、営業所技術者の兼務を制限する場合があります。

さらに、各自治体や国の機関が発注する公共工事では、独自の技術者配置基準や入札条件により、営業所技術者の兼務が事実上、禁止または極めて困難になるケースが多数存在します。

つまり、専任を要する工事においては、この営業所技術者の兼務は非常に難易度の高い選択肢であることを認識し、契約の際は特に慎重な確認が必要です。

まとめ:技術者配置の最適化を!そして実務上の高い壁


営業所技術者は、貴社の許可の生命線であり、その「専任」の原則は厳格です。

しかし、最新の法改正は、その原則を崩すことなく、正しく運用すれば技術者を効率的に活用できる道を示してくれました。

専任を要しない工事での兼務は、近接の要件を適切に満たしているか?

専任を要する工事での兼務は、ICT活用厳しい要件をすべてクリアできているか?

このルールは複雑であり、少しの誤解が許可取り消しという重大な事態を招きかねません。

不安を抱えたまま、現場運営を進める必要はありません。

私たちは、貴社の保有する技術者の資格と経験、そして現場の状況を踏まえ、この兼務の仕組みを最適に組み合わせるための具体的なアドバイスを提供いたします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
メールやLINEでもお気軽にご連絡ください!
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