お世話になっております、行政書士の前田です。
今回のコラムは現場代理人と配置技術者のお話です。
「現場代理人?配置技術者?そんなの当然知ってるよ!いまさら何を言ってるんだ?」
そう思いましたよね?でも、ちょっと待ってください。
実は、長年この業界で活躍されている方ほど、「知っているつもり」が大きな落とし穴になっていることがよくあるんです。
今回の記事は、単なる知識のおさらいじゃありません。
あなたの会社を行政処分や罰金から守るための『護身術』です。
まずは基本のおさらい
そもそも何者???
もう知っているかもしれませんが、まずは両者の基本的な役割を整理しましょう。
| 現場代理人 | 配置技術者(主任技術者・監理技術者) |
役割 | 工事全体の運営や契約に関する責任者 | 工事の技術的な管理・監督を行う責任者 |
根拠 | 主に請負契約約款で定められる | 建設業法により配置が義務付けられている |
イメージ | 工事の「顔」であり、「現場の社長」 | 工事の「頭脳」であり、「技術のプロ」 |
常駐義務 | 契約約款で定められることが一般的 | 建設業法で定められており、専任が求められる場合がある |
資格 | 特になし(発注者によっては求められる場合も) | 建設業法で定められた国家資格や実務経験が必須 |
このように、両者は似ているようで、役割も根拠となる法律もまったく違うんです。
特に、根拠法が「建設業法か、それ以外か」という点は、後述するペナルティにも直結する重要な違いです。
知らないとヤバい…
ペナルティにつながる落とし穴…!
ここからが本題です。ベテランの方でも、つい見過ごしがちな「落とし穴」を3つ解説します。
落とし穴①:専任義務を理解しないまま「掛け持ち」する
配置技術者には、特定の工事で「専任」が義務付けられています。
このルールを無視して他の現場を掛け持ちすると、即座に建設業法違反です。
≪工事現場ごとに専任が必要な工事≫
請負金額4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上の個人住宅・長屋を除くほとんどの工事 ※いわゆる民間工事も含まれます。
ちなみに、専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該建設工事現場に係る職務にのみ従事することを意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐(現場施工の稼働中、特別の理由がある場合を除き、常時継続的に当該工事現場へ滞在していること)を必要とするものではありません。
少しややこしいニュアンスですが、「つきっきり」とまでは求められていない程度に認識しておいてもらえればいいと思います。
落とし穴②:現場代理人と配置技術者を安易に「兼任」する
現場代理人と配置技術者を一人で兼任することは可能ですが、「専任」義務がある工事では注意が必要です。
なぜなら、専任の配置技術者は、現場に常駐して技術的な管理をしなければなりません。
そして、現場代理人は、発注者との打ち合わせなどで現場を離れることがあります。
もし現場代理人と配置技術者を兼任してる場合、専任を求められている配置技術者が現場から離れている(常駐していない)という状況になりかねません。
このため、特に公共工事などでは、発注者の約款で「現場代理人は、配置技術者との兼任をしないこと」と明記されているケースも少なくありません。
契約内容をしっかり確認しないと、気づかないうちに違反してしまう可能性があります。
落とし穴③:違反した時の罰則がマジで重い
もし、上記のルールを無視して不適切な配置を行った場合、どうなるでしょうか?
【行政指導】
まず、建設業の監督官庁(国土交通省など)から立ち入り検査が入り、行政指導や是正命令が下されます。ここで指導に従わないと、さらに重い処分が待っています。
【営業停止】
建設業法第28条に基づき、営業停止処分が下されることがあります。
これは、今後の入札参加や受注に深刻な影響を与え、会社の存続を脅かす事態です。
【罰則金】
建設業法第47条では、100万円以下の罰金が定められています。
配置技術者の専任義務違反などがこれに該当します。
悪質なケースでは、罰金が300万円となることもあり、会社の経営を直撃します。
まとめ
正しい知識は、会社を守る最強の武器だ!!
この記事で、現場代理人と配置技術者の違い、そしてその曖昧な理解が招くリスクについて、改めて深く理解してもらえたのではないでしょうか。
「知ってるつもり」が一番危険なんです。
この知識は、単なる豆知識ではなく、あなたの会社を法令違反のリスクから守り、信用を維持するための最強の『武器』になります。
もしあなたの現場で「この配置で本当に大丈夫か?」と少しでも不安に感じたら、いつでもご相談してください。
それが、大きなペナルティを回避する第一歩です。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
配置技術者の選定や、ご不明な点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。皆さんの事業の発展を、全力でサポートさせていただきます。
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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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