担い手不足の現状、みなさんはどう感じていますか?
お世話になっております、行政書士の前田です。
「建設業界の担い手不足」、よく聞く言葉になりましたね。実際に肌で感じている会社様も多いと思います。
現在、非常に深刻な問題となっているのは言うまでもありません。
2025年には団塊世代の大量退職が一斉に進み、建設業の人材が約90万人不足すると予測されています。
さらに「2025年問題」は、ベテラン技能労働者の引退による技術継承の断絶だけでなく、労働力自体の急激な減少をもたらし、業界全体に重い影響を与えています。
年代別の就業者構成を見ると、55歳以上が約37%を占め、29歳以下はわずか12%という状況です。
また、若手の入職が進まないことから、新陳代謝が非常に悪く、技能労働者の高齢化が加速しています。
これに対し、建設業の求人倍率は約4.8倍と非常に高い水準で、求人を出しても人が集まらず、急激な需給ギャップが顕在化しています。
この人手不足は建設業の倒産件数の増加にもつながっており、2024年には1,924件の建設業倒産が報告されました。
その背景には、労働者の減少と建設需要の増加という需給のアンバランスがあります。
特に中小企業ほど人材確保に苦労し、倒産リスクが高まっているのが実情です。
また、2024年からは時間外労働の上限規制が建設業にも適用され、長時間労働に頼った現場の運営が困難になっています。
これにより、限られた人員で効率よく仕事をこなす必要があり、生産性向上やICT導入の推進が急務となっています。
この他にも様々な要因から加速し、深刻化する「担い手不足」問題。
今回はこの現状をしっかりと把握し、自社にとっての問題点はどこなのか、そしてどう乗り越えていくか。
少しでも皆様のお役に立てていただけるコラムになればと思います。
具体的にどんな影響が出ているのでしょう?
では、どんな問題が現場で起きているのでしょうか?
まず工期の遅延が増え、これが元で施主からの信用を失うケースもあります。
それだけでなく、経験豊富な職人が減り、施工の質が落ちるリスクも高まっています。
実際、2025年上半期の人手不足を原因とした倒産件数は過去最多の202件にのぼりました。
技術の継承が滞ることで、熟練技能の喪失も懸念されています。
これにより、許可業者の経営基盤が揺らぎかねない状況と言えるでしょう。
また、労働者の高齢化に伴う安全面のリスクも増加しているため、現場全体の安全管理も一層厳しい課題となっています。
じゃあ、どんな取り組みがされているのでしょうか?
現状では様々な対策が試みられています。
若者や女性の入職・定着促進
現在の建設業技能者の約25%が60歳以上で、若年層は約12%と非常に少ない状況です。
国土交通省は若者や女性の建設業への入職を促進し、定着率を上げるための支援を強化しています。
職業訓練やキャリアアップ支援を拡充し、多様な人材を受け入れる体制作りを進めています。
処遇改善と働き方改革の推進
労働環境の改善が人手不足解消の鍵として、現場の長時間労働是正や週休2日制の推進、適正な工期設定を国土交通省が積極的に後押ししています。
これにより、建設業での働きやすさを向上させ、離職を減らしていく狙いがあります。
生産性向上とICT技術導入
国土交通省は「i-Construction 2.0」を推進し、建設現場のデジタル化・自動化による生産性向上を進めています。
BIM/CIM(建築情報モデル/施工情報モデル)の活用により、効率的な工事管理と作業の省力化を実現し、人手不足に対応しています。
人材育成・技能習得の支援
建設業界全体の技能者不足に対応すべく、職業訓練や建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及を支援しています。
また、再教育や資格取得支援を通じて、現場作業員の技能向上とキャリア形成を助けています。
外国人材の受け入れ促進
特定技能制度を活用し、熟練技能者不足を補うために外国人労働者の受け入れ促進を進めています。
適切な支援や環境整備を図り、早期離職防止と安定就労を支援しています。
建設業許可業者にはどんな工夫や対応が求められているでしょう?
現場を支える許可業者の皆さんにとっては、まず「働きやすい職場づくり」が重要です。
労働環境の改善と働き方の見直し
中小企業においても、長時間労働の是正や週休2日制の導入、適正な工期設定の実践が不可欠です。
特に残業時間の管理や休暇取得の促進は、若手社員の定着率向上に直結します。
勤怠管理システムの導入も効果的で、透明性を持った労務管理が求められます。
給与・福利厚生の見直し
給与水準の引き上げや賞与、各種手当の充実は、中小企業でも重要な処遇改善策です。
住宅手当や交通費支給、健康管理支援なども検討することで、求職者の注目度が上がります。
若手・女性・外国人材の積極採用と育成
中小企業であっても、若手の採用促進や女性技術者の活躍を促す環境整備が求められます。
女性専用設備の設置や柔軟な勤務時間の導入は定着率を高めます。
また、外国人労働者の受け入れも選択肢として広がっており、受け入れ体制や教育体制の構築がポイントです。
ICTやデジタル技術の活用による生産性向上
BIM/CIMの導入や施工管理アプリ、ドローンの活用など、ICT技術を活かして省力化・効率化を図ることも中小企業の競争力強化に有効です。
初期投資が気になる場合は、段階的な導入から始めましょう。
各種補助金や助成金を利用することもポイントです。
技能継承と教育・資格取得支援
技能者の高齢化による技術継承問題に対しては、教育研修体制の整備や資格取得支援が重要です。
社内で指導者を育てることや、建設キャリアアップシステム(CCUS)など公的な制度も積極的に活用しましょう。
まとめ
人手不足は一朝一夕で解決できる問題ではありません。
業界全体の連携や国の支援も不可欠ですが、許可業者の皆さんが行政書士と連携し、許認可手続きや外国人労働者の受け入れ準備、労務管理の法令対応などを円滑に進めることも大切です。
今は小さな変化を積み重ねる段階です。
例えば、まずは一部の作業や手続きをIT化したり、働き方改革に本気で取り組んでみたりすること。
その積み重ねが未来の持続可能な建設業界を作ります。
共に考え、支え合いながら、現場の「担い手不足」に立ち向かいましょう。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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