お世話になっております、行政書士の前田です。
建設業者の皆様、日々の業務、誠にお疲れ様でございます。
今回は、29ある建設業許可の中でも、建築の基本となる「大工工事」と、建築物の壁や床を美しく仕上げる「左官工事」の許可について、ご説明いたします。
まずは【大工工事】からいきますね!
「大工工事」は、木造建築物の骨組みを作る仕事というイメージが強いかもしれません。
しかし、実はその範囲は非常に幅広く、建設工事の多岐にわたる部分で活躍できる許可です。
この許可を正しく理解し、ぜひ皆様のビジネスチャンス拡大にお役立てください。
大工工事とはどのような工事なのか?
大工工事は、主に建築物の木材を加工し、組み立てる工事を指します。
具体的には、以下のような工事が該当します。
木造建築物の構造材(柱や梁など)の加工・組立
造作工事(窓枠、敷居、鴨居などの取付)
木製建具の設置
ただし、気をつけなければならないのは、「大工工事」の許可だけでは、建設工事全体を請け負うことはできないという点です。
例えば、木造住宅をまるごと請け負う場合は、後ほどご説明する「建築一式工事」の許可が必要となります。
他の業種との境界線!間違いやすいポイントに注意
「大工工事」は、他の建設業許可と混同されやすい点がいくつかあります。
特に以下の2つの業種との違いを明確に理解しておくことが大切です。
≪建築一式工事との関係≫
建築一式工事は、戸建てやビルなど、複数の専門工事を一括で請け負う際に必要な許可です。
大工工事は、その建築工事の一部を担う「専門工事」です。
したがって、大工工事の許可だけでは、総合的な木造住宅の建設は請け負えません。
請負金額が500万円以上の大工工事を単体で請け負う場合に、大工工事の許可が必要になります。
≪内装仕上工事との関係≫
木製の棚やカウンター、造り付け家具の設置など、「大工工事」と「内装仕上工事」の境界線が曖昧になることがあります。
一般的に、壁や床、天井といった内装の基盤を作る作業は「内装仕上工事」に、木製の造作物や建具を設置する作業は「大工工事」に該当することが多いです。
どちらの工事にも該当する可能性がある場合は、請負内容をしっかりと確認することが重要です。
どのような企業が許可を取得すべきか?
以下のような事業を営んでいらっしゃる場合は、この許可の取得を強くお勧めいたします。
専門の大工として、個人住宅や店舗の内装で木製の造作工事を請け負う企業
他の建設業者から、請負金額が500万円以上の木材加工や組み立て工事を専門に請け負う企業
社寺仏閣の修復や新築を専門に行う企業
許可取得に必要な資格について
本許可を取得するには、営業所に常勤する「専任技術者」の配置が求められます。
専任技術者となるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
国家資格の保有
1級・2級建築士
1級・2級建築施工管理技士
実務経験の証明
指定学科(建築学、土木工学など)を卒業後、一定期間の実務経験を有する者
学歴を問わず、10年以上の実務経験を有する者
まとめ
「大工工事」は、建設工事の基盤を支える非常に重要な許可です。
この許可を取得することで、請け負える工事の幅が広がり、より専門性の高い工事を受注できるようになります。
続きまして、【左官工事】についてご説明しますね!
「左官工事」は、建物の仕上げに欠かせない、まさに職人技を要する専門性の高い工事です。
この許可を取得することで、皆様の技術が正当に評価され、より大きなビジネスへとつながる可能性が広がります。
左官工事とはどのような工事なのか?
左官工事は、こてやへらなどの道具を用いて、壁や床、天井などにモルタルやプラスター、漆喰といった材料を塗り付け、表面を滑らかに、あるいは美しく仕上げる工事です。
具体的には、以下のようなものが該当します。
壁や天井へのモルタル・漆喰塗り
コンクリートの表面を平滑に仕上げる作業(土間コンクリートなど)
タイルやレンガの下地作り
吹付け工事(モルタルなど)
左官工事は、建物の防水性や耐久性を高める役割も担っており、単なる見た目の美しさだけでなく、建物の品質を左右する重要な工事です。
他の業種との境界線!間違いやすいポイントに注意
「左官工事」は、他の建設業許可と混同されやすい点がいくつかあります。
特に以下の業種との違いを明確に理解しておくことが大切です。
≪タイル・れんが・ブロック工事との関係≫
左官工事は、タイルやレンガを張り付けるための下地作りが主な業務です。
一方、「タイル・れんが・ブロック工事」は、その下地の上にタイルやレンガ、ブロックなどを張り付けたり積み上げたりする工事を指します。
両者は密接に関連していますが、工事内容が異なりますので、どちらの許可が必要かを請負内容に合わせて判断する必要があります。
≪防水工事との関係≫
左官工事の中には、モルタルを塗ることで防水性を高める作業も含まれます。
しかし、屋根やベランダにアスファルトやウレタンを塗布するような専門的な「防水工事」は、別途その許可が必要になります。
どのような企業が許可を取得すべきか?
以下のような事業を営んでいらっしゃる場合は、この許可の取得を強くお勧めいたします。
壁や床のモルタル仕上げを専門に行う企業
住宅や店舗の漆喰・珪藻土塗り壁を専門に行う企業
コンクリートの土間打ちや基礎工事の表面仕上げを請け負う企業
許可取得に必要な資格について
本許可を取得するには、営業所に常勤する「専任技術者」の配置が求められます。
専任技術者となるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
国家資格の保有
1級・2級建築施工管理技士
職業能力開発促進法による左官科の技能検定合格者(1級・2級)
実務経験の証明
指定学科(建築学、土木工学など)を卒業後、一定期間の実務経験を有する者
学歴を問わず、10年以上の実務経験を有する者
まとめ
「左官工事」は、建物の品質と美観を左右する重要な専門工事です。
この許可を取得することで、技術力が証明され、より信頼性の高い事業者として、請け負える工事の幅が広がります。
今回は「大工工事」「左官工事」に関して解説させていただきました。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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