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「ついでに」は要注意!『附帯工事』の境界線!

お世話になっております、行政書士の前田です。

建設業を営むあなたにとって、お客様からの「ついでにこれもお願い!」という一言は、ビジネスチャンス。

例えば、電気工事のついでに壁の補修を、屋根工事のついでに軒天の塗装を、といった具合です。

しかし、この「ついでに」の工事。

実は、あなたの持っている許可業種とは別の業種にあたる場合があります。

そこで頼りになるのが、特例として許可がなくても請け負える『附帯工事(ふたいこうじ)』のルールです。

このルールを正しく理解していれば、リスクなくお客様の要望に応えられます。

逆に知らずに進めると、気づかぬうちに「無許可工事」として厳しい処分を受けるリスクを負ってしまうのです。

今回は、皆様が安心して事業を拡大できるよう、附帯工事の判断基準を具体的な事例を交えて解説します。

一緒に安全な境界線を確認しましょう。

建設業法が認める「附帯工事」の正体


建設業法は、あなたが持っている許可業種の工事を請け負う際に、「それに附帯する他の建設業に係る建設工事」も合わせて請け負って良いと定めています(建設業法第4条)。

これが附帯工事です。

ポイント: 附帯工事は、請負金額が500万円以上であっても、特例として許可が不要になります。

ただ、間違えやすいのが「軽微な工事」との違いです。
区分
許可の要否
金額の制限
適用されるケース
軽微な工事
許可不要
500万円未満(建築一式は1,500万円未満)
どの業種でも請け負える(独立した工事)
附帯工事
許可不要
制限なし
主たる許可業種の工事があることが前提
つまり、附帯工事は、あなたの持っている許可を前提とした例外ルールなのです。

この「前提」を忘れてはなりません。

「無許可工事」とみなされないための3つの鉄則


では、どのような工事が「附帯工事」として認められるのでしょうか?

行政が判断する際の重要な3つの鉄則をお教えします。

鉄則1:主従関係の明確化(主たる工事の目的達成に必要か)

附帯工事は、主たる工事(あなたの許可業種)を完成させるために必要不可欠な工事である必要があります。

例えば、新しい機械を設置する(管工事)ために、その機械を搬入するための開口部の設置・補強工事(とび・土工)を行う場合などです。

鉄則2:一連・一体性の原則(単独で使用目的がないこと)

附帯工事が、それ単独で独立した使用目的を持つものではなく、主たる工事と一連または一体として施工される必要があると認められることが重要です。

単独で機能してしまう場合や、主たる工事の場所以外の工事は、「附帯工事」とは認められません。

鉄則3:金額のバランス

明確な基準ではありませんが、附帯工事の金額が、主たる工事の金額を上回ったり、同等になったりすると、主従が逆転したと判断されるリスクが非常に高まります。

主たる工事より附帯工事の方が高額になる場合は、その附帯工事が実は主たる工事なのでは?と疑われてしまいます。

明暗を分けた附帯工事の事例集


抽象的な鉄則だけでは判断しにくいですよね。

実際に行政の判断が分かれた生きた事例をご紹介します。
No.
主たる工事(あなたの許可業種)
附帯工事(他の業種)
判断
理由(鉄則の適用)
1
電気工事
内装仕上げ工事
OK
電気配線の敷設や器具設置のために開けた天井・壁を元通りに復旧するのは、電気工事と一連一体であり、単独の目的を持たないため。(鉄則2)
2
ほ装工事
ガードレール設置工事
OK
道路の舗装工事(ほ装)に伴って、安全確保のためにガードレールを設置(とび・土工)することは、注文者の利便から一体として行うことが相当と認められるため。(鉄則1・2)
3
内装仕上工事
新たなガス配管の工事
NG
内装の模様替えと、ガスの配管を新しく作る工事は、それぞれが独立した使用目的を持つ工事であり、主従関係も明確ではないため。(鉄則1・2)
4
建築一式工事
エレベーター設置
NG
エレベーター設置工事は、それ自体が「機械器具設置工事」として独立した使用目的と機能を持つため、「建築一式」に附帯する工事とは認められない。(鉄則2)
5
屋根工事
軒天や破風の塗装
OK
屋根の葺き替えや補修を行う際、一体的に建物を保護し、美観を整える目的で周囲の付帯部分を塗装(塗装工事)するのは、主たる目的を達成するために必要と認められるため。(鉄則1)

見落とし厳禁!500万円以上の附帯工事は「技術者」が必要


一つだけ、注意喚起させてください。

附帯工事の請負金額が500万円以上になる場合、たとえ許可が不要でも、その附帯工事の業種に関する専門技術者を現場に配置しなければなりません(建設業法第26条の2第2項)。

「許可がないからOK」と安心して、技術者を置かなかったために法令違反となるケースが後を絶ちません。

大きな工事を請け負う際は、技術者の配置までセットで考えるのが、信頼されるプロの仕事です。


まとめ:リスクを避け、自信を持って事業を広げるために


附帯工事のルールは、建設業者であるあなたが、お客様の幅広いニーズに応えるための強い味方です。

しかし、その境界線は時に曖昧で、「この工事は本当にセーフか?」と迷うこともあるでしょう。

迷ったまま進めるのは、会社の信用を失う大きなリスクになります。

少しでも判断に迷ったら、すぐに専門家で行政書士に相談してください。

リスクを排除し、自信と安心を持って、あなたの事業を力強く前に進めていきましょう!

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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