♻️許可要件の“財務健全性”とは?黒字・債務超過のリアル実務
- たまご行政書士事務所

- 11月11日
- 読了時間: 3分
お世話になっております、行政書士の前田です。
今回は、収集運搬業の許可審査で確実にチェックされる「財務健全性」について、実際の現場で見てきたケースも交えながら詳しく解説していきます。
許可と財務状況の関係は、表向きにはあまり語られませんが、実務の現場では“合否を左右する”ほど重要な項目です。
黒字か赤字かだけで判断されるわけではなく、財務の内容や改善の方向性まで含めて見られます。
許可要件としての「財務健全性」とは?
● なぜ財務がここまで重要になるのか
産廃の収集運搬業は「安全・継続的に業務ができるか」が最も重視されます。
資金繰りが不安定な事業者だと、
・不適正処理に走るリスク
・契約不履行や業務停止
・事故時の対応能力不足
につながるため、行政は“経営の安定性”そのものを確認しにきます。
● 審査で見られるポイント
許可庁は決算書の数値だけを見ているわけではありません。
特に次の点はよくチェックされます。
債務超過の有無
流動比率(短期支払能力)
直近の営業利益の推移
税金の未納状況
帳簿付けの正確性・整合性
つまり「黒字か赤字か」ではなく、“継続して健全に事業を回せるか”が問われます。
黒字でなくても許可は取れる?
● 赤字決算でも一発不許可ではない
「赤字=不許可」と誤解されやすいですが、実務上はそんな単純ではありません。
単年の赤字であれば、
明確な理由(投資・設備更新・一時的な費用増)
次年度への改善見込み
が説明できれば、許可は十分に通ります。
● 債務超過の扱いは?
「債務超過=絶対にダメ」というほど単純ではありません。
ポイントは以下のとおりです。
代表者が会社に貸し付けている場合
増資予定や資本調整が進んでいる場合
役員借入・貸付の精算が可能な状態
極端な資金悪化でなければ改善余地がある場合
特に収集運搬業者の多くは小規模企業ですので、代表者借入で債務超過が“表面的に見えているだけ”というケースは非常に多いです。
そのため、実務では「決算書のどこをどう直すか」まで踏み込んでサポートします。
財務面での“よくある不許可パターン”
● 資金繰り悪化が疑われるケース
以下のような決算書だと、審査が厳しくなります。
短期借入金が急に増えている
未払金が多く、支払能力に疑問がある
税金の未納(これは特に厳しく見られる)
行政庁は「数字の悪さ」ではなく、“継続性のリスク” を警戒しています。
● 書類の不整合による減点
実務でよく見かけるのが、
経費科目がバラバラ
別会社との売上・費用の付替え
車両経費の根拠が曖昧
といった帳簿・決算書の不備です。
これは財務内容以前に「管理能力不足」と評価され、不許可につながりやすくなります。
まとめ
財務健全性は、「黒字か赤字か」「債務超過かどうか」といった単純な基準ではなく、事業の継続性と管理能力を総合的に判断されるもの です。
決算が悪くても、改善の余地があれば十分に許可は狙えます。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
たまご行政書士事務所行政書士
前田 礼央
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