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♻️産業廃棄物収集運搬業の許可要件を徹底解説

お世話になっております、行政書士の前田です。


前回の記事では「産業廃棄物収集運搬業許可の取得手続きの流れ」についてご紹介しました。


今回は一歩踏み込んで、実際に審査で重視される「許可要件」について、行政のチェック視点や現場でよくあるつまずきポイントも交えながら解説します。


許可要件の全体像


産業廃棄物収集運搬業の許可では、主に次の要件が審査されます。


①人的要件(講習会修了者の有無・責任体制)


②財産的要件(欠格要件・納税・財務健全性)


③施設要件(車両・保管場所・積替え施設など)


④法令遵守体制(過去の行政処分歴・名義貸しの有無)


一見すると単純に見えますが、実際の審査では「書類の整合性」や「現場の実態」が伴っていなければ許可が下りません。


とくに車両や保管施設の要件は現地調査で確認されることもある重要ポイントです。


人的要件:講習修了証の意義と注意点


許可申請にあたり、まず必要となるのが「産業廃棄物処理業講習会」の修了証です。


講習会は公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施しており、「新規」「更新」「特別管理産廃」の区分に分かれています。


ここで重要なのは、単に受講して修了証を提出すればいいという話ではなく、講習修了証が「事業に実質的に関わる者」であることが求められる点です。


たとえば次のようなケースでは、審査担当者から指摘を受けることがあります。


実際の業務を担当しない親族の名前で講習を受講している


法人代表が講習を受けているが、現場管理は別の社員が行っている


修了証の有効期限が切れている


講習修了者は、収集運搬業務の法令遵守責任者として位置づけられます。


現場でよく見るのは、「代表者が修了証を持っているが、現場担当者が法令を理解していない」パターン。


これでは、帳簿管理やマニフェスト交付に不備が出やすく、結果として更新時にトラブルになることもあります。


行政としても、「修了証を持つ=許可に必要な知識を持っていることの証明」と捉えるため、組織として法令を理解・運用できる体制が整っているかが問われます。


車両要件:車検証だけでは足りない!


次に重要なのが運搬車両の要件です。


「車検証を出せばOK」と思われがちですが、実際の審査では所有・使用権限・運搬能力・表示義務の4点がチェックされます。


まず、車両の所有関係


自社名義の車両であれば問題ありませんが、リースやレンタルの場合、使用権限を示す契約書が必要です。


契約期間が短期だったり、他社名義で使用者欄が空欄のままになっていると、審査で止まるケースがあります。


次に、運搬能力


車両の構造や積載量が、運搬する廃棄物の種類・形状に合っているかを確認します。たとえば液状廃棄物を運ぶのに「平ボディトラック」を申請していると、即座に差し戻しになります。


現場では「収集運搬」と「積替え保管」を混同しているケースもあり、廃棄物を一時的に保管するなら、積替え保管の許可が別途必要になる点にも注意が必要です。


さらに、車両表示も許可後の指導で最も多い指摘項目です。


「産業廃棄物収集運搬車」などの表示を左右両側に明確に記載すること、許可番号も忘れずに表示することが求められます。


現場では表示がはがれかけていたり、許可番号が古いままというケースもあり、更新時に写真確認で再提出を求められることもあります


施設要件:営業所・保管場所の実態が問われる


施設要件では、営業所と車庫(および保管場所)の実態が重視されます。


とくに「実態のある営業所かどうか」は近年厳しくチェックされる傾向にあります。


例えば、


登記上は所在地があるが、実際は郵便受けだけ


倉庫を借りているが、他社との共同使用で明確な区画がない


契約書上の用途が「事務所」や「倉庫」以外


といった場合、許可が下りないこともあります。


また、車両の車庫については、車検証記載の使用の本拠地と申請書記載の所在地が一致しているかがポイント。


行政は「申請書」「車検証」「賃貸契約書」「写真」を突き合わせて確認するため、1つでも不整合があると補正が入ります。


現場で多いのは「車両を自宅で保管している」「月極駐車場に置いている」ケースですが、駐車場契約書に「産業廃棄物車両保管可」と明記されていることが求められます。


財産的要件・法令遵守体制


財産的要件としては、欠格要件に該当しないこと、納税証明があること、そして経営が安定していることが必要です。


この点は建設業許可にも共通しますが、産廃許可の場合は「反社会的勢力との関係」「廃棄物処理法違反歴」の有無も厳しく見られます。


行政書士としての実務感覚では、税金滞納前代表者の処分歴でストップするケースが一定数あります。


法人の場合、役員全員の調査対象となるため、代表交代の直後などは特に注意が必要です。


✅ まとめ:許可は「形式」よりも「実体」が大事


産業廃棄物収集運搬業の許可は、単なる書類審査に見えて、実際は「実体審査」に近い側面を持ちます。


講習修了証が形だけでなく、法令理解の体制を示すもの。


車両や施設が単に存在するだけでなく、適法・適正に使用されているかが問われるのです。


現場では、「とりあえず申請書を出してみたが補正続きで半年かかった」という相談も少なくありません。


事前に専門家へ相談し、実態に合った形で許可を整えておくことが、結果的に最短ルートになります。


当事務所では、資格証明から申請書作成まで一貫してサポートしております。


ぜひお気軽にご相談ください。今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。


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たまご行政書士事務所

行政書士 前田 礼央

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