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♻️産業廃棄物収集運搬業許可とは?許可が必要なケースと業種区分を行政書士が解説

お世話になっております、行政書士の前田です。


今回は、産業廃棄物処理業の中でも特に相談が多い「産業廃棄物収集運搬業許可」について解説します。


そもそも「産業廃棄物業」とはどんな事業なのか、どんな場合に許可が必要になるのか。


そして、許可を受けるためにどのような要件を満たす必要があるのか。


初めて許可を検討している事業者の方にも分かりやすく整理していきます。


産業廃棄物業の種類と役割


まず理解しておきたいのは、「産業廃棄物処理業」とはひとつの業種ではなく、複数の区分に分かれているということです。


廃棄物の排出から最終処分に至るまでの工程のうち、どの部分を業として行うのかによって、取得すべき許可が変わります。


≪収集運搬業≫


排出事業者から委託を受けて、産業廃棄物を安全に運搬し、中間処理または最終処分場まで届ける事業です。


不適正な運搬や不法投棄を防止するため、都道府県知事(または政令市長)の許可を受ける必要があります(廃棄物処理法第14条第1項)。


≪中間処理業≫


破砕・圧縮・焼却などにより廃棄物を減量化・無害化し、再資源化や最終処分の容易化を行う事業です。


施設の構造や維持管理に厳格な基準が定められています(同法第15条、第8条の2)。


≪最終処分業≫


廃棄物を最終的に埋立て等の方法で処分する事業です。


特に環境への影響が大きいため、環境基準に基づく構造要件・維持管理義務が細かく規定されています(同法第15条の2)。


このように、処理の各段階ごとに独立した許可制度が設けられており、たとえば「運ぶだけ」なら収集運搬業許可「破砕・焼却を行う」なら中間処理業許可が必要になります。


産業廃棄物収集運搬業許可とは


産業廃棄物収集運搬業とは、他人から委託を受けて産業廃棄物を運搬する事業です。


この許可制度の目的は、廃棄物の不法投棄や不適正処理を防止し、安全な処理ルートを確保することにあります。


許可を受ける際は、運搬経路や車両の構造保管方法事業所の管理体制などが審査されます。


また、申請先は事業を行う都道府県知事(または政令指定都市の市長)です。


複数の都道府県をまたいで運搬を行う場合、それぞれの自治体で許可が必要となります(廃棄物処理法第14条第1項ただし書)。


≪「積替え保管あり」と「なし」の違い≫


収集運搬業には、「積替え保管を伴うかどうか」で2種類があります。


積替え保管なし:現場から処理施設へ直接運ぶ形態。最も一般的なタイプです。


積替え保管あり:一時的に廃棄物を保管・再積込みする施設を持つ場合で、施設構造や周辺環境に関する基準が追加されます(廃棄物処理法施行規則第7条の4)。


「積替え保管あり」は施設設置許可も必要になることから、通常よりも審査が厳しく、環境基準・防止措置などの確認が求められます。


🧩 一般廃棄物との違い


「産業廃棄物」と似た言葉に「一般廃棄物」がありますが、両者は発生源と性質によって明確に区分されています。


一般廃棄物とは、主に家庭や飲食店、オフィスなどの日常生活に伴って発生するごみのことを指します。


家庭の生活ごみや飲食店の生ごみ、オフィスの紙くずなどが典型的です。


これらは、市町村が収集や処理を行うことが原則であり、一般廃棄物を他人から委託を受けて運搬・処理する場合には、市町村の許可が必要になります(いわゆる「一般廃棄物収集運搬業許可」)。


一方で、産業廃棄物は、事業活動に伴って発生し、政令で定められた20種類の廃棄物を指します(廃棄物処理法第2条第4項)。


たとえば、建設現場から出るコンクリートがらや廃プラスチック、工場から出る汚泥・金属くず・廃油などがこれに該当します。


これらの産業廃棄物を運搬・処理する場合には、都道府県知事または政令市長の許可が必要となります。


つまり、


家庭や飲食店から出るような「生活由来のごみ」は一般廃棄物


工場や建設業などの「事業活動由来のごみ」は産業廃棄物


というのが基本的な区分です。


この区分を誤ると、無許可営業とみなされるおそれがあるため、最初の段階でしっかりと判断しておくことが重要です。


🚛 許可が必要となるケース・不要なケース


≪許可が必要なケース≫


他人の排出した産業廃棄物を有償・無償を問わず運搬する場合には、原則として許可が必要です(廃棄物処理法第14条第1項)。


例えば、次のようなケースです。


建設業者が、他社現場で発生した廃棄物を引き取って運ぶ場合


元請企業が、下請業者の排出物をまとめて処理場へ運ぶ場合


運送業者が、排出事業者から委託を受けて廃棄物を運搬する場合


このように、「他人から委託を受けて運ぶ」=営業行為とみなされ、許可が必要です。


≪ 許可が不要なケース(自己運搬)≫


一方で、自社が排出した産業廃棄物を自社で契約した処分場まで運ぶ場合は、「自己運搬」に該当し、許可は不要です。


ただし、親会社・子会社・関連会社の間であっても、形式上「委託契約」を結んで運搬する場合は「他人扱い」となり、許可が必要になる点に注意が必要です。


「自社の廃棄物だから大丈夫」と思っていても、契約関係の整理が不十分だと法令違反となることがあります。


実際の契約スキームを確認して判断することが重要です。


🧾 許可を受けるための基本要件


産業廃棄物収集運搬業の許可を受けるには、以下のような経営的・人的・技術的要件を満たす必要があります。


これらの要件は、廃棄物処理法第14条第3項および第7項、ならびに施行規則第6条の2に基づいて審査されます。


1. 経営的基礎


事業を安定的に継続できる経営基盤があること。


具体的には、赤字決算が続いていないことや、債務超過の状態でないことなどが確認されます。


自治体によっては直近3期分の財務諸表や納税証明書の提出を求められる場合があります。


この判断は「経営的安定性」として位置づけられ、法令上は「継続的かつ安定的に事業を行う能力を有する者」(廃棄物処理法第14条第3項第2号)であることが必要です。


2. 欠格事由に該当しないこと


申請者や役員が暴力団関係者でないこと、過去5年以内に廃棄物処理法等に違反して処罰を受けていないことが条件です。


これは「法令遵守能力」の審査として、廃棄物処理法第14条第3項第3号および第4号で規定されています。


虚偽申請や過去の無許可営業歴がある場合も、欠格事由に該当することがあります。


3. 技術的能力の確保


廃棄物の性状を理解し、安全に運搬・積込み・荷下ろしができるだけの技術的能力を有していること。


具体的には、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物処理業講習会(収集・運搬課程)」の修了者が、各営業所ごとに1名以上配置されていることが求められます(施行規則第6条の2第2号)。


また、運搬車両の安全構造(密閉式・防水性など)や、飛散・流出防止措置を講じていることも技術的要件に含まれます。


4. 車両・設備の要件


運搬に使用する車両が、廃棄物の種類や形状に適したものであること。


たとえば汚泥の場合は防水構造の荷台が必要であり、飛散や流出を防ぐためのシート・密閉装置が備えられていなければなりません(施行規則第7条第1項)。


また、車庫の確保管理体制も評価対象となります。


5. 事業所の設置要件


事業を行う営業所を明確に定め、常勤の責任者を置くことが求められます。


事業所や車庫が都市計画法・建築基準法に抵触していないことも重要であり、自治体によっては用途地域の制限を受ける場合もあります。


許可を取らずに行うとどうなる?


無許可で他人の産業廃棄物を運搬した場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されます(廃棄物処理法第25条第1項第6号)。


法人が違反した場合は、両罰規定により法人にも3億円以下の罰金が課される可能性があります(同法第32条)。


また、委託した排出事業者も「委託基準違反」(同法第12条第7項)として行政処分や刑事罰の対象になる場合があります。


善意であっても「他人の廃棄物を運んだ」時点で無許可営業となるため、非常に厳しい制度です。


行政書士に相談するメリット


産業廃棄物処理業は、他の許認可(建設業・運送業など)と比べても、法令上の制約や自治体ごとの運用差が大きい分野です。


行政書士に相談することで、


許可が必要か不要かの事前診断


技術的要件(講習修了・車両仕様等)の確認


複数都道府県への申請手続きの調整


などをスムーズに進めることができます。


許可の判断に迷う段階から相談していただくことで、余計なリスクを避け、正確な対応が可能になります。


💬 まとめ


産業廃棄物収集運搬業許可は、環境保全のための重要な許可制度です。


「どの工程を行うのか」「他人の廃棄物を運ぶのか」という点で、許可の要否が変わります。


自社の事業内容を整理し、許可が必要かどうかを正確に判断することが第一歩です。


当事務所では、初回相談から許可判断・申請準備まで一貫してサポートしております。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。


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たまご行政書士事務所

行政書士 前田 礼央

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