♻️積載量オーバーで何が問題になるのか?法令・運送・産廃の3視点から解説
- たまご行政書士事務所

- 11月16日
- 読了時間: 5分
お世話になっております、行政書士の前田です。
産業廃棄物の収集運搬を行う現場では、「積載量オーバー(過積載)」は非常に多いトラブルの一つです。
排出事業者・ドライバー・運搬会社の認識が微妙にズレてしまい、「少しぐらいなら大丈夫」と思ってしまうケースもよく見られます。
しかし実際には、積載量オーバーは道路交通法・運送業規制・産廃法の3つの観点で大きな問題となり、行政処分や事故リスクに直結します。
この記事では、それぞれの観点から「なぜ積載量オーバーが危険なのか」「どこが問題になるのか」を詳しく解説します。
そもそも「積載量オーバー」とは?
≪最大積載量とは何か≫
まず押さえておきたいのは、車検証に記載されている最大積載量です。
この数値を1kgでも超えれば「過積載」となり、道路交通法上の違反として扱われます。
業界では「見た目」で判断されてしまうこともありますが、最大積載量は車両の構造や安全基準を踏まえて設定されているため、直感的な判断では正確に把握できません。
≪“見た目”では判断できない理由≫
産業廃棄物は、「軽そうに見えて実は重いもの(廃プラなど)」や、反対にかさばるだけのものも多くあります。
そのため、現場で目視しても「軽いと思って積んだら実はオーバーだった」というケースが後を絶ちません。
法令(道路交通法・道路運送車両法)の視点:何が違反にあたる?
≪道路交通法での違反(過積載)≫
道路交通法では、最大積載量を超えた運搬は明確な違反として扱われ、「運転者の点数・罰則」、「事業者の使用者責任」が問われます。
過積載は事故に直結しやすいことから、取り締まりも強化されており、特に高速道路では重量センサーで発見されるケースが増えています。
≪道路運送車両法の観点≫
車両には構造上の安全基準があり、これを逸脱する積載は「車両の保安基準不適合」となる可能性があります。
事業者が継続的に過積載を行っている場合、行政処分(車両停止など)につながることもあります。
過積載は「つい」「気づかなかった」で済ませられる問題ではありません。
立入検査でも積載量の確認は重要項目であり、事業者の管理体制そのものが問われることになります。
運送業界の視点:なぜ積載量オーバーは問題視されるのか
≪車両への負荷≫
過積載は、タイヤ、サスペンション、フレームなどの車両パーツに過度な負担をかけます。
特に産廃は重量物も多いため、過積載を繰り返すと車両トラブルのリスクが急激に高まります。
実際、ブレーキトラブルやタイヤバーストは過積載が原因の一つとしてしばしば挙げられます。
≪高速道路での検挙リスク≫
高速道路のETCゲートでは重量を計測しており、「偶然の検知」で違反が発覚するケースが少なくありません。
「見られなければ大丈夫」というのは完全な誤解で、過積載の検挙は想像以上に多く発生しています。
≪運転者への負担≫
過積載は運転の難易度を大きく上げます。
・制動距離の増加
・ハンドリングの悪化
・車体の揺れが大きくなる
など、事故につながる要因が増えるため、ドライバー本人の安全面でも大きな問題があります。
産業廃棄物処理法の視点:過積載が「産廃法違反」になるケース
≪飛散・流出防止義務との関係≫
産廃法では、運搬中の飛散・流出防止が義務付けられています。
過積載は荷崩れや落下事故につながりやすく、結果として改善命令・行政指導の対象となります。
特に廃プラや木くずは、積み込みが甘いと飛散しやすく、積載量と安全管理は密接に関係しています。
≪契約内容との不一致≫
委託契約書には運搬方法や量が記載されています。
実態として、
「契約以上の量を一度に運んだ」
「契約にない形状で積んだ」
などの行為は、不適正処理とみなされる場合があります。
≪積替え保管の誤認を生むケース≫
過積載で荷崩れが起き、途中で積み直しが必要になった場合、状況によっては積替え保管と判断されかねないケースもあります。
特に、道路脇や駐車場で積み直す行為は誤解を招きやすく、行政の目線では「適切な運搬管理ができていない」と評価されます。
過積載を防ぐためのチェックポイント
≪荷積み前に最低限やるべきこと≫
・排出事業者に概算重量を必ず確認
・車両ごとの最大積載量の一覧表を作成
・廃棄物の種類ごとの“重量感覚”を把握する
≪現場で迷ったときの判断基準≫
少しでも不安を感じたら、迷わず積み直すことが重要です。
また、「マニフェスト記載量=そのまま積んで良い量」ではありません。
実重量は必ず現場判断が必要です。
≪ドライバー教育で伝えるべきポイント≫
・過積載は“少しの差”でも違法
・運転者自身の責任も重い
・会社の許可維持にも影響するこうした点を共有しておけば、現場判断の精度が大きく変わります。
まとめ
積載量オーバーは、
・法令違反
・車両トラブル
・産廃法違反
と、複数のリスクが重なる危険な行為です。
現場で少しの油断が大きな処分につながることもあるため、日常的な確認と教育が何より重要になります。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
たまご行政書士事務所行政書士
前田 礼央
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