🏗️ 建設業DX化の現状と進め方|行政書士が見る“デジタル化の波”と実務対応
- たまご行政書士事務所

- 11月1日
- 読了時間: 6分
お世話になっております、行政書士の前田です。
ここ数年、建設業界でも「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にする機会が増えました。
働き方改革や人手不足、技能継承などの課題が山積する中で、「業務をデジタルの力で変えていく」動きが加速しています。
民間調査でも、DXに取り組む企業が着実に増えていることが分かっています。
とはいえ、「何から始めればよいかわからない」という声も少なくありません。
この記事では、調査の傾向も参考にしながら、行政書士の立場から「建設業DX化の実態と進め方」を分かりやすく解説します。
建設業界で求められる「DX化」とは
■ 単なるIT化ではない「業務改革」
DXとは、単に紙をデジタルに置き換えることではなく、業務の流れそのものを見直し、効率化・共有化を進める取り組みを指します。
たとえば、これまで現場ごとに紙で管理していた工程表や日報をクラウドで共有すれば、リアルタイムで進捗を確認できるようになり、指示や報告がスムーズになります。
また、国土交通省が推進する BIM/CIM や CCUS(建設キャリアアップシステム) なども、まさに建設業DXの一環です。
※BIM=建築分野の「情報付き3Dモデル」
※CIM=土木分野の「情報モデル化」
■ DX化の背景
建設業界では、
技能者の高齢化と若手不足
現場間での情報共有不足(FAXや紙文化)
手続きや報告に時間がかかる非効率な体制
などが慢性的な課題として存在しています。
こうした中で、DX化は「人手不足を補うための手段」であり、「企業競争力を維持するための必須条件」になりつつあります。
DX化が進まない主な理由
1. 専門人材の不足
DXを推進するには、ITやシステムに詳しい人材が必要ですが、建設業界ではその層が薄いのが現実です。
外部コンサルに導入を依頼しても、現場にノウハウが残らず、結果的に「使いこなせない」ケースも多く見られます。
2. 現場社員のデジタルスキル不足
ベテラン職人や監督が中心の現場では、パソコン操作やクラウドの扱いが難しいと感じる方も少なくありません。
研修や教育の重要性は理解していても、日々の工期や案件対応に追われ、育成の時間が取れないという現実があります。
3. 経営層の理解・投資不足
経営者層は「必要性は感じるが、どの程度の投資効果があるのか分からない」と感じがちです。
そのため、DXが“後回し”になってしまう企業も多いのです。
実際,民間の調査でも「DXの必要性は理解しているが進んでいない」と答えた企業が大半を占めています。
4. 技術導入のハードル
BIM/CIM、ドローン測量、AI解析など、導入コストや技術難度が高いものも多く、「導入したけれど、結局使いこなせなかった」というケースも見られます。
DX化に成功する企業の共通点
■ 経営層が旗を振る
現場任せではなく、経営層がDXを経営課題として明確に位置づけることが成功の第一歩です。
社内にDX推進担当者を置いたり、経営会議で進捗を共有したりと、組織的に取り組む姿勢が重要です。
■ 小さなデジタル化から始める
建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)というと、「高額なシステム導入が必要」「専門知識がないと難しい」といったイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、実際には“小さなデジタル化”から着実に進めることがDX成功の近道です。
≪スマホアプリ・クラウドサービスを活用する≫
まずは、日々の業務の中で「紙で行っている作業」や「メールやFAXでのやり取り」をデジタル化してみましょう。
最近は建設業向けに使いやすいアプリやクラウドサービスが数多く登場しています。
【日報・現場報告の電子化】
Raken(レイケン)
スマホ・タブレットから日報を入力し、写真添付・PDF出力・メール共有まで自動化できるクラウドアプリです。
英語UIですが、直感的な操作性で現場スタッフにも使いやすいのが特徴です。
Snappii Construction Daily Log
紙の現場日報をスマホでデジタル入力できる軽量アプリ。
日本語翻訳にも対応しており、「とりあえず電子化したい」という企業の最初の一歩におすすめです。
【施工管理・情報共有のクラウド化】
ANDPAD(アンドパッド)
施工管理・工程管理・写真共有・報告書作成などを一括で行える日本発のクラウドシステムです。
多くの施工会社・協力会社で導入が進み、現場と事務所の情報共有をスムーズにします。
【設計・原価・発注まで連携したクラウド管理】
Autodesk AEC Collection(オートデスク)
設計から施工・運用までを一貫管理できるBIM/CIM対応ソフト群。
クラウド版の「Autodesk Construction Cloud」と連携することで、図面データや工程情報をリアルタイムに共有可能です。
応研 建設NXクラウド
国内建設業向けに開発されたクラウド業務管理ソフト。
原価管理・請求・発注・予算管理などをクラウド上で統合的に処理できます。
中小建設業にも導入しやすい価格帯が魅力です。
メガソフト 3Dアーキデザイナー Professional クラウドライセンス
設計・3Dモデルの共有ができる国産ソフト。
クラウドライセンスにより、複数拠点から同一データを扱えるため、設計・営業・施工がデータを共有しながら打ち合わせを進められます。
≪導入ステップのイメージ≫
①まずは日報・報告書の電子化から始める
紙と併用しながら少しずつ移行することで、現場の負担を最小限に。
②協力会社との情報共有をクラウドで進める
工程表・写真・資料などをオンライン上で共有できるようにする。
③設計〜施工データを一元管理する段階へ
BIM/CIMや原価管理まで含めたクラウド活用で、業務の重複や情報漏れを防止。
■ 外部リソースの活用
IT導入補助金などの制度を活用したり、外部のITベンダー・行政書士・派遣技術者と連携したりすることで、自社内にDX人材がいなくても実現可能です。
外部と協働して進めるDXが、今後の中小建設業の鍵になります。
今後の展望とまとめ
建設業界におけるDX化は、もはや「選択肢」ではなく「必須の経営課題」と言えます。
国土交通省もデジタル施工や電子申請を推進しており、今後はさらにデジタル前提の業務環境が整っていくでしょう。
ただし、DXは一度導入して終わりではなく、継続的な改善と現場定着が欠かせません。
行政書士としても、許可・申請の枠を超えて、制度と現場をつなぐサポートを行うことが求められています。
「まずはどこから始めればいいか分からない」という方も、自社の現状把握や補助金活用の検討から、一歩ずつ取り組んでみてください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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