♻️排出事業者責任とは?義務とよくある違反リスク
- たまご行政書士事務所

- 11月7日
- 読了時間: 4分
お世話になっております、行政書士の前田です。
今回は、産業廃棄物を扱ううえで最も重要な考え方といっても過言ではない 「排出事業者責任」 について解説いたします。
日々のご相談の中でも、
「委託しているから大丈夫だと思っていた」
「収集運搬業者が許可を持っていれば問題ないのでは?」
という声は非常に多いところです。
しかし実務上、廃棄物処理法で最も厳しく問われるのは排出事業者の管理体制です。
今回は、基本的な枠組みから、現場でよく発生する違反例まで、解説いたします。
排出事業者責任の基本
産業廃棄物は、排出した 事業者自身が最後まで責任を負う とされています。
これは「委託して処理すれば終わり」ではなく、以下を守る義務があるということです。
適正な処理業者を選ぶ責任
契約内容や処理方法を管理する責任
実際に適正に処理されたか確認する責任(処理終了後まで)
行政処分の多くは、実は処理業者ではなく排出事業者に対して行われることが多く、特に建設業・製造業では注意が必要です。
排出事業者が負う主な3つの義務
① 委託契約書の締結(書面または電子)
委託する際は、必ず 委託契約書(書面または電子契約) が必要です。よくある誤りとして、
契約書の更新を忘れる
運搬業者には契約したが、中間処理業者とは契約していない
処理料金表が別紙のまま数年前から更新されていない
といったケースがあります。
書面は行政調査で確実に確認されるため、最重要書類のひとつです。
② 許可業者の選定・確認義務
委託先が以下を満たしているか、排出事業者が確認します。
許可の種類(収集運搬・処分)
許可の品目が合っているか
許可の地域が適切か
有効期限が切れていないか
「積替え保管」の許可がないのに一時保管していたという事例が最も多く、これも排出事業者の確認不足として行政指導の対象になります。
③ マニフェストの発行・保管・管理
マニフェスト(紙・電子)は、排出事業者が適正処理を確認するための重要ツールです。
特に次の点で指摘が多いです:
JWNETで「未確認」「未報告」のまま放置
紙マニフェストの返送をチェックしていない
記入誤り(数量・品目の不一致)
再委託の管理ができていない
行政調査時には「過去5年分」の提出を求められることが一般的で、抜け漏れがあると改善報告書を求められることもあります。
違反が起こりやすいポイントと実務のリスク
① 処理委託していたのに排出事業者が処分を受けるケース
例えば、
委託先が許可のない処理をしていた
契約内容と実際の処理が異なっていた
許可有効期限の確認を怠った
こうした場合、行政は「委託しただけで管理をしていなかった」と判断し、排出事業者に行政処分を行います。
現場感覚でいえば、「業者に任せていたから知らない」で済むケースは一度もありません。
② 不適正処理に巻き込まれるパターン
近年増えているのが、運搬業者が無許可業者に横流ししていたケース。
排出事業者は知らなくても、結果的に責任を問われる可能性があります。
→ 対策:定期的な委託先の現地確認・許可証の更新チェックは必須です。
③ 現場担当者との情報伝達不足
排出事業者の管理がしっかりしていても、「現場だけが実態を知らない」ことも多いです。
その結果、
本来分別すべきものが一緒に出される
予定外の廃棄物が発生し、無許可品目で運搬
マニフェストを勝手に書いてしまう
といった事故が起こります。
担当者教育は排出事業者責任の一部 であり、行政も重視するポイントです。
排出事業者として最低限やるべき管理チェックリスト
許可証の写しを受領し、期限と品目を確認している
委託契約書(処分・運搬)を締結している
マニフェスト(紙・電子)を発行し、終了確認している
委託先の現地確認を行っている
分別方法・保管方法を社内で共有している
許可更新や経営変更の情報を定期的に見ている
実務では、この6点ができていれば“最低ライン”は満たしているといえます。
まとめ
排出事業者責任は、産業廃棄物管理の中心となる考え方であり、行政処分の多くはこの管理体制が原因です。
委託先に任せきりにせず、「自社の廃棄物は、自社で最後まで責任を持つ」という姿勢が何より重要です。
現場の負担を増やさず、現実的に管理できる方法についてもサポートできますので、実務で不安な点があればお気軽にご相談ください。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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