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🏗️防水工事業とは?建設業許可の区分と実務上の注意点

お世話になっております、行政書士の前田です。


今回は、建設業の29業種のうち「防水工事業」について解説します。


長年防水工事に携わっている事業者様でも、実は誤解しているケースが多い業種のひとつです。


許可区分・工事の範囲・関連業種との境界を、専門的な視点からわかりやすく説明していきます。


防水工事業とは【定義と範囲】


≪建設業法上の定義と位置づけ≫


防水工事業は、建設業法施行令第3条において建築物において水の浸入を防止するため、防水材を用いて施工する工事と定義されています。


ここで重要なのは、「防水材を用いる」ことと、「水の浸入防止を主目的とする施工」の2点です。


つまり、同じ材料を使っていても、施工の目的が異なれば別の業種に該当します


例えばウレタンを塗る作業でも、


雨水の浸入を防ぐためなら「防水工事業」、


外観の保護や美観目的なら「塗装工事業」


と判断されます。


この“目的による区分”を誤ると、無許可営業のリスクが生じるため、注意が必要です。


≪防水工事業に含まれる主な工法≫


防水工事業は、使用する材料や工法によって大きく次の4つに分類されます。


それぞれ施工技術・材料管理・下地調整方法が異なり、許可審査の際にも「どの工法を主として行っているか」が確認されることがあります。

区分

主な材料・工法

特徴・用途

留意点

アスファルト防水工事

アスファルトルーフィング・トーチ工法など

高い防水性能、耐久性に優れる。屋上や陸屋根に多い。

火気使用あり。安全管理が重要。

シート防水工事

塩ビシート・ゴムシートなど

施工が早く、均一な仕上がり。大面積屋上や外壁に使用。

下地の平滑性が要求され、接着工法の選定がカギ。

ウレタン塗膜防水工事

ウレタン樹脂(密着・通気緩衝など)

複雑形状でも施工可能。改修工事に最も多い。

施工厚み管理が不十分だと性能不足になる。

セメント系防水工事

セメントモルタル・混和材等

浸透型・塗布型があり、地下構造物などに多い。

左官工事との区分が曖昧になりやすい。

ここで見落とされがちな点として、材料メーカーの「防水材」としての認定を受けているかどうかも判断材料となります。


たとえば、塗装用アクリル樹脂などを防水目的に使ったとしても、防水工事業に該当しない場合があります。


≪ 防水の施工対象と機能目的≫


防水工事の対象は屋上や外壁に限らず、以下のように多岐にわたります。


屋上・バルコニー・屋根スラブ


外壁のシーリング部分


地下ピットや水槽内部


立ち上がりや伸縮目地部


開口部周辺の止水対策


また、目的も「雨水の侵入防止」だけではなく、


地下水・湿気の遮断(地下構造物)


結露対策(浴室・厨房など)


水槽やプールなどの水保持目的の防水


など、外部からの水の侵入防止と、内部からの漏水防止の両面があります。


建設業許可上はどちらの目的であっても「防水工事業」に該当しますが、実務上は防水と止水の境界が曖昧なケースが多く、許可申請の際に説明が必要になることがあります。


≪誤解されやすい「防水に見えるが防水工事業ではない」ケース≫


防水に関連する施工でも、以下のようなものは建設業法上は防水工事業に該当しない可能性があります。

施工内容

主な目的

該当業種

シーリング工事(外壁目地充填)

仕上げ材の防水補助

内装仕上工事業(またはとび・土工)

FRP防水(住宅ベランダ等)

強化プラスチック層形成

防水工事業または塗装工事業(内容次第)

防水塗料の塗布(アクリル・シリコン)

外壁保護、美観目的

塗装工事業

コンクリート打設時の混和材添加

構造防水(混入型)

大工工事業・左官工事業に含まれる

とくにFRP防水は、「塗装工事業で申請してしまう」事例が非常に多いです。


しかし、FRP層を形成し水密性を主目的としている場合には防水工事業の範囲となるため、施工内容の説明次第で許可業種が変わります。


≪防水工事業と他業種の関係性≫


防水工事は他業種との境界が特に複雑な分野です。


以下のような関係があります。


左官工事業:下地モルタル調整やレベリングを主とする場合


塗装工事業:トップコートや仕上げ層の施工が主目的の場合


とび・土工工事業:屋上下地の改修や撤去を伴う場合


建築工事業(特定業種):複数業種を総合的に請け負う場合


申請時には、「主たる請負内容」「材料」「施工目的」を基準に区分する必要があります。


防水工事業を主軸に事業を展開している方であれば、塗装・左官の許可も同時に取得しておくと、請負範囲を広げることができます。


≪現場で起こりやすい誤認例≫

防水工事業者の方が実際に誤認しやすいケースを挙げます。


  1. 屋上防水のトップコートだけ施工している場合 

    → 主目的が防水層形成でないため、塗装工事業になる可能性あり。


  2. 下地調整と防水層施工を一式で請け負っている 

    → 下地調整は左官工事業に含まれるが、主たる目的が防水なら防水工事業。


  3. 下請で防水層のみを担当しているが、契約名義は元請会社

    → 実務経験証明の際に「自社施工」として認められない可能性あり。


このような「現場では当然」「書面上は別扱い」となるズレが、許可申請時のトラブルにつながりやすいポイントです。


💡 許可を取る際の注意点


防水工事業で建設業許可を取得する際は、以下の点に注意が必要です。


1. 経営業務の管理責任者


過去に防水工事業の経営経験(5年以上)がある方が必要です。


防水工事を塗装工事や左官工事として扱っていた場合、実務経験の証明書類(請求書・注文書など)に「防水工事」と明記されていないと経営経験として認められにくい点に注意です。


2. 専任技術者の要件


専任技術者は、資格者か実務経験者であることが必要です。


代表的な資格としては以下のようなものがあります。


1級・2級建築施工管理技士(仕上げ)


防水施工技能士(各種工法ごと)


特に「防水施工技能士」は実務に直結する資格で、許可審査でも評価されやすい資格です。


3. 下請工事の区分


元請・下請どちらの立場で工事を行うかによって、許可の必要性が変わることもあります。


例えば、外壁塗装工事の一部として防水層を施工する場合でも、請負契約上「防水工事」を単独で受注していれば防水工事業の許可が必要です。


📋 まとめ


防水工事業は、建物の耐久性を左右する重要な専門業種です。


しかし、「塗装工事」「左官工事」「屋根工事」との区分が非常に紛らわしく、許可申請や経審の際に誤認されるケースも少なくありません。


許可申請を検討される際は、実際にどのような施工を行っているのか、発注書・見積書の記載内容をもとに正確に判断することが大切です。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。


ぜひ今後の記事もチェックしていただき、御社の経営力アップ許可維持にお役立てください。


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たまご行政書士事務所

行政書士 前田 礼央

メールやLINEでもお気軽にご連絡ください!

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