お世話になっております、行政書士の前田です。
長引く資材価格の高騰、人手不足の深刻化、そして2025年問題(残業規制)による人件費の高騰は、経営環境を厳しくする一方です。
事実、2025年に入ってから建設会社の倒産件数は、過去に例を見ないペースで増加しています。
「この先どうなるのか」「自分の代で廃業するしかないのか」...そうした危機感を抱くのは、決してあなただけではありません。
しかし、立ち止まらないでください。廃業だけが、あなたの会社の「出口」ではありません。
御社が長年培ってきた技術、ノウハウ、顧客との信頼、そして建設業許可という大切な「財産」を未来へつなぐための、「攻めの経営戦略」、それが事業承継やM&Aです。
この大きな決断を成功させる鍵は、ただ一つ。
それは「建設業許可の確実な引き継ぎ」です。
手続きを間違え、許可を失効させてしまえば、これまで積み上げてきた全ての信頼が一瞬で崩れてしまうからです。
その引き継ぎ方、本当に大丈夫ですか?承継の形態で許可の「命運」は決まります
建設業許可は、原則として第三者に譲渡することができません。
この基本原則があるため、M&Aや事業承継の際に、許可を「どのように継続させるか」が最も専門的かつ重要な論点となります。
株式譲渡(M&A)の場合:「法人格が変わらない」という落とし穴
会社の株式を譲渡する場合、会社そのもの(法人格)は存続するため、建設業許可も原則継続されます。
一見、最も簡単な方法に思えますが、ここにこそ落とし穴があります。
新しい経営陣のもとで役員が変われば、必ず行政庁に変更届を提出しなければなりません。
その際、新しい経営体制が「経営業務の管理責任者(経管)」や「専任技術者(専技)」の要件を欠いていないかが厳しくチェックされます。
もし要件を欠くことになれば、許可は取り消しとなり、株式譲渡の目的(事業継続)は達成できなくなってしまいます。
事業譲渡・合併の場合:命綱となる「事前認可制度」
事業譲渡や合併(吸収合併など)のように、承継元の会社が消滅したり、事業部門を切り離したりする場合は、原則としてその建設業許可は失効してしまいます。
これを避けるために、2020年の建設業法改正で導入されたのが**「事前認可制度」です。
これは、「承継の効力発生日(M&Aの日)の前日までに、行政庁の認可を必ず得ておく」ことで、許可の空白期間を一切作らずに承継を可能にする、まさに事業の命綱となる制度です。
この「前日まで」という期限は絶対であり、この認可を得るには、承継先の会社が許可要件を全て満たしていることの証明と、綿密な準備が不可欠となります
失敗しないための3つのチェックリスト
承継の形態に関わらず、建設業許可という会社の生命線を確実に未来につなぐために、以下の3つのチェックリストを今すぐ確認し、行動に移してください。
チェック1:新しい体制で「人材要件(経管・専技)」は満たせていますか?
M&Aや事業承継で最も失敗が多いのが、この人材要件の不備です。
承継後の新しい体制で、許可要件の柱となる「経営業務の管理責任者(経管)」や「専任技術者(専技)」が常勤し、要件を欠けることなく満たし続けるのかを徹底的に確認してください。
特に、経管の経営経験を証明する過去の資料や、専技の実務経験を証明する書類(当時の注文書や請求書など)は、行政庁から最も厳しくチェックされます。
これらの証明書類がすぐに提示できるよう、譲渡側・譲受側の双方で承継前に完璧に揃っているかをリストアップしましょう。
もし証明できなければ、許可の更新や変更届は受理されません。
チェック2:承継形態に合わせた「スケジュール」を絶対遵守できますか?
事前認可が必要な事業譲渡や合併の場合、行政庁は審査に1ヶ月から2ヶ月程度の時間を要します。
行政庁との事前相談も必須ですから、一般的に承継日の約2〜4ヶ月前から行政書士とタッグを組み、準備に取り掛かる必要があります。
「承継の期日ありき」で手続きを進めることは大変危険です。
行政庁の定める「申請受付期限」と「審査期間」をスケジュールに組み込み、期限を絶対に守る計画を立てているか確認してください。
たった1日の遅れが、「無許可営業」のリスクにつながるということを、経営者として肝に銘じる必要があります。
チェック3:譲渡元の「負の遺産」を事前に調査していますか?
M&Aでは、単に資産や負債だけでなく、建設業許可に関連する行政上の「負の遺産」も承継先に引き継がれる可能性があります。
譲渡元の会社に過去の監督処分(営業停止や指示処分など)の履歴はありませんか?
決算変更届(事業年度終了届)の提出漏れや、過去の届出内容に虚偽の記載はありませんか?
これらの法令違反や届出の不備は、承継後の御社に行政指導や処分として影響を及ぼす可能性があります。
M&A前のデューデリジェンス(適正評価)では、財務だけでなく、許可関連のコンプライアンスを最優先で調査し、リスクのない状態で承継に臨んでください。
まとめ:あなたの会社の「技術と信頼」を守るために、今すぐご相談を
事業承継やM&Aは、厳しい時代を生き抜くための最高のチャンスです。
しかし、建設業許可という生命線を途切れさせてしまうリスクも同時に抱えています。
許可の引き継ぎ手続きは、専門的な知識と行政庁との綿密な調整が不可欠です。
私たちは、御社の大切な許可を途切れさせることなく、次のステージへ力強く進んでいただくための羅針盤となります。
「ハッ!」と気づいた今が、動き出す最高のタイミングです。
私たちが全力でサポートし、御社の明るい未来を切り開くお手伝いをさせていただきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
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たまご行政書士事務所
行政書士 前田 礼央
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